絆メイナが、このドラゴンの里に来て、はや一ヶ月が過ぎた。
最初、この里で暮らす唯一の人間として、警戒されていた
メイナだったが
好奇心旺盛な子供のドラゴン達は、里では珍しい人間に興味を示し
メイナの周りに寄り集まる。
そんな子供のドラゴン達を怖がるところか、人の子供をあやすように
昔話を聞かせてあげたり、料理を作ってあげたりする
メイナは
たちまち人気者になるのであった。
「ねぇ、メイナ! 今度僕の巣に遊びにおいでよ!!」「この間の料理凄く美味しかったよ、まだ作ってくれる?」「メイナが困ってるだろ! あんまり近寄らないでくれないか!?」里の人気者になった
メイナを見て、最初は共に喜んでいた
ペドランであったが
最近、どうも自分以外のドラゴンが
メイナと仲良くしてる所をみると堪らなくなる時がある。
そんなもやもやした感情を彼の友竜は、ただ一言で言い表した。
「それって、恋なんじゃない?」―――恋!!その言葉も意味も知っていたが、今の今まで彼は体験した事がなかったが故に
その気持ちを別の誰かに指摘されるまで気が付かなかったのである。
ガツーンとした衝撃に、
ペドランは立ち尽くした。
これが……恋!!メイナに出会った頃より大きくなったとはいえ
ペドランはまだ、子供なのである。
人よりも長い時に耐えうる
存在強度を持ち、知識量で言うならば並の人間の大人でも
敵わない程である
ペドランだが、彼はやはり子供であった。
自分の気持ちに気づいた
ペドランは、悩んだ。
恋、しかし、
僕と
メイナは違う種族だ。
実ることのない恋なはずだ。
そんな悩んでいる
ペドランに、友竜はまだしても衝撃の一言を告げた。
「愛があれば、
種族の壁なんて問題にならないって、どこかの本で読んだよ」
…………愛!!クワッ! と目を見開き、目の前に置かれた衝撃の言葉を飲み込んだ
ペドランは
まるで、何かを悟ったような気分になった。
(補足するが、この友竜、この時人間の恋愛モノの小説にハマっていた)
またもや自分の気持ちに気づいた
ペドランは、
メイナの気持ちが
知りたくて堪らなくなり、飛んで帰ったのであった。
「メイナ! メイナ!」「どうしたんですかぁ~? そんなに慌てたりしてぇ」「あのさ、メイナ、僕の事どう思ってる?」「大好きですよ~」……大好き!?――ペドランは思った。もう死んでもいいや。
―――ペドランは思った。種族の壁なんて、愛の前にはなんて脆いんだろう。――――ペドランは思った。
これはもう、結婚するしかない!!一体どういう
思考回路をしてるとこうなるのか、いささか性急が過ぎる感じではあったが
それが
「青春」というモノなのだろう。
横では、
だって色々親切にして下さいますし、ここに連れて来てくれたのもペドランさんですしなどと、
メイナが回想しながら感謝の言葉を述べてるが、
ペドランの耳には届いてなかった。
「メイナ!!!」「はいぃっ!? な、なんでしょうぉ~」「僕と、結・婚してくれないかっ!!」そのあまりの迫力と、今まで受けた恩を思ったのか、メイナはうなずいた。
カラン~コロン~、カラン~コロン~♪――――まだ、式を挙げてもないのにペドランには鐘の音が響いていた。ああ、偉大なる青春バカ万歳! である。
もっとも、人間とドラゴンの結婚なんて
前代未聞だ。
里の大竜達は、ペドランに思い留まるように説得したが
只今、
絶賛青春中の
ペドランの意思を変えることなど、誰にも出来なかった。
ほどほど困り果てた大竜達であったが
まあ、一過性の激情だからその内目が覚めるでしょう、と放置を決定する。
――――こうして目出度く、二人の障害は取り払われたのであった!!もう二人の突進を阻むモノは存在しない。
(もっとも、突き進んでるのは
ペドランだけな気がしないでもないが)
ドラゴンの里に、時々物々交換にやってくる命知らずの
マクナドの商人から、
ドレス一式を手に入れた
ペドラン。
―――そうして、運命の時はやってきた。町の教会で式を挙げたい気もしたが、古来よりドラゴンは人に恐れられる存在だ。
だから、式は、二人
のお気に入りの森で行われた。
「えっと、汝らペドランとメイナの両名は、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も
病める時も健やかなる時も、共に歩み、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますかぁ~?」誓いの言葉は、シスターであった
メイナが紡ぐ。
「僕、ペドランは、メイナを生涯の伴侶と定め
この命ある限り彼女を愛し、生きることを誓います」その言葉、その表情を、うっとりとした面持ちで受け止めた
メイナも
誓いの言葉を口にする。
「私、メイナは、ペドランさんを生涯の伴侶と定め
この命ある限り彼を愛し、共に生きることを誓いますぅ~」しばらく、真剣(本人達的)に互いを見つめ合う二人。
そして、
ペドランの人生の伴侶となった
メイナが口を開いた。
「ほんとはぁ~、指輪を渡すのが正式なんですけどぉ~……」言葉を続けようとする
メイナの口を、
ペドランが
キスで塞ぐ。
「ほんとうに大切なモノは、形の無いモノだって僕たちは知っている。
だから、そんなモノは必要ないよ」「……はい、ペドランさん、不束者ですがどうぞよろしくお願いしますぅ~」「もう二人は夫婦なんだから、さん付けで呼ばなくていいよ」「……ペドラン」「……メイナ」――――此処に、二人の新たなる運命の歯車は回り出した。
人とドラゴン、前代未聞の二人が歩む道はやはり
前人未踏な道なのであろうか――――。次章に続く。 【追記】本文の修正・追記を行いました。
『続く』と書き忘れたので、追記しておきます。
後、多分二回ぐらいで『メイナ(仮)の物語前夜』が書き終わる予定です。
更に、本文の修正を行いました(2007/09/25)
テーマ : ゲーム製作 関連 - ジャンル : ゲーム
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